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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第10章 ✼(黄)水仙✼



宙を彷徨う結の手に指を絡ませる。


「俺が修羅になろうとしたらお前がこうして繋ぎとめてくれる。お前自身が強くなれたと感じるその日まで、二人で手を取って守っていけばいい」


願わくば、結が強くなってからも、ずっと。
生涯二人で乗り越えたい。


「後からまたちゃんとした言葉を伝えよう。今日は思わず口にしてしまったが……結を妻にしたいとはずっと考えていた」


「……嬉しいです。もっと沢山言いたいことがあるのに、こんな事しか言えません」


泣きながら笑う結はこの世の誰よりも美しかった。


「私、特別な物なんて何も持ってませんよ?本当に良いんですか?」


「何を言っている。俺の結はこんなにも強くて美しいというのに」


俺からの言葉を期待するように、本当に自分で良いのかと聞いてくる姿が愛おしい。


「お前はここからの景色が好きか?」


「はい。とても綺麗だと思います」


「……そうか」


そろそろ朝日が昇る。

日の出前の月は、役目を終えるその瞬間が一番輝いていた。
段々と明るくなってきた空に照らされて、結は微笑んだ。


「月が綺麗だな」


外の景色を気に留めた事はほとんど無いが、今日の月は綺麗だと思えた。
それを聞いた結は小さく笑った後に呟く。


「月はずっと綺麗でしたよ」


「……どういう意味だ?」


「秘密です」


この意味を知らなくとも、目の前に愛する者の笑顔があるなら、それは知らなくても心配ないものだろう。

それから暫く、俺達は月を眺めていた。




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