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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第10章 ✼(黄)水仙✼



「私も……許されるのなら…っ……もう一度貴方に愛して欲しい……っ」


そっと、結の心に触れるように手を伸ばす。

抱き締めようとして、手を止めた。
抱き締めるだけではこの気持ちは伝わらない。


「結……俺を見ろ」


顎を上げて唇を奪う。
言葉で言っても足りないから……この熱を感じて欲しい。


「んっ…………」


「他の男の部屋で盛る気は無い。残念だが、続きは帰ってからにしよう」


この城の者には悪いが、今日はこの城に泊めてもらおう。
すると、結は力ない腕で俺の事を抱き締めてきた。


「……」


「結、可愛い事をするな。今から攫ってしまいたくなる」


「それは、困ります……信長様にも家康にも挨拶してないし……」


「他の男の名前を出すのは禁止だ」


結の口に人差し指を当てると、結は直ぐに顔を赤くした。


「なら、少し話をしませんか?ここなら誰も近づかないですし……今聞きたいことが沢山あるんです」


「ここは信長の部屋だろう。いいのか?」


「先程出て行くときに、今夜は帰ってこないから好きに使うといいって言ってくれました」


これも信長の気遣いのうちか……。敵に気を使われるのは初めてだ。


「ここからの景色はとっても綺麗なんですよ」


結に言われて外を見ると、そこには夜明け前の幻想的な月があった。


(もうすぐ夜が明けるのか……そんな時間になっていたとは気付かなかったな)


もうすぐで役目を終える夜空と、次に昇る朝日の微かな橙色に照らされて、月はどこか明るい印象を持っていた。

……まるで、俺の心のように。

先の見えない闇の中に居る俺を、結が導いてくれるように、少しずつ空は明るい色に染まっていく。

結にとって俺もそんな存在でありたいと願った。






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