第8章 ☆イケメン戦国四周年記念SS☆
拗ねるように言うと、謙信様は小さく笑った。
「初めてか。悪くない」
「んっ……」
謙信様に耳を甘噛みされて身をよじる。
「愛しているよ」
その言葉を囁かれるだけで胸がきゅっと締めつけられる。
何百回、何千回言われても慣れないし、これからも慣れることはないと思う。
「私の方が愛してます」
「いや、俺だな」
「ふふっ……これじゃあ一生終わらないですね」
「お前とならそれも悪くない」
戦の事を考えず、お酒も無い。
ただ花を眺めながら風に吹かれる。
そんな二人だけの空間が好き。
「お前のために他の武将と戦ったこともあったな。英国の者もいた」
「総選挙の事ですか?」
「織田信長に負けた事は一生忘れない」
「ふふっ……まだ根に持ってるんですね」
「俺はお前に愛されていればそれでいい。だがお前に誇れる男でありたいとも思う」
謙信様は意外と根に持つタイプなのかもしれない。
「歳を重ねるにつれてお前が悩んでいる事も知っている」
「えっ……」
「この時代が無くなることを恐れている」
「……っ…」
確かに四年も経てば、いつか謙信様と会えなくなってしまう恐怖に苛まれることもあった。
「結。何も恐れることは無い」
「はい……」
強く抱きしめられて、その温もりを感じる。
「ならば確かめてみるか?」
「えっ……?!」
優しく押し倒されて、謙信様の顔が迫る。
「んんっ……んぅ…」
私の全てを奪うように唇を重ねられる。
謙信様の舌に口内が侵されていく。
「はぁ…っ……」
「お前が愛してくれていれば、俺が居なくなることは無い」
──だからお前も、ずっと俺を愛していてくれ
目の前の光景に息を呑む。
自信満々に言いながら、謙信様の瞳は揺れていた。
(綺麗……)
思わず、謙信様の首に抱きつく。
私に引き寄せられるようにして、謙信様も花の上に倒れ込んだ。