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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第7章 ✼月見草✼



「信玄様……?!どうしたんですか?!」


城へ戻ると、たまたま出くわした幸が駆け寄ってきた。


「話は後だ。とにかく結の部屋へ」


部屋へと急ぎ、結を降ろすと自分の手には大量の血がついていた。


「まさか賊に……!」


「これは謙信がやったものだ」


「……?!」


幸は言葉を失った。


「すまない、結」


再び結に謝ってから、帯を解いて着物の袷を開く。
できるだけ腹以外の場所は見えないように開くと、そこは予想通りになっていた。


「傷が、開いている」


結だって完全に傷が治り切った訳では無い。
先程ので刺された時の傷が開いてしまっていた。
そこから血が流れ、そのせいで高熱を出してしまっている。


「幸。俺が応急処置をしておくから佐助を呼んできてくれ」


「わかりました!」


布で傷口を塞いでから、結の額の汗を拭った。
もう結の近くに謙信を置いておくことは出来ない。

すぐに帰ってきた幸と佐助に、意を決して告げた。




「結を安土へ帰す」




これしか方法がなかった。
結が謙信の傍に居たいと言うから黙っていたけれど、こうなっては仕方ない。


「籠だと目立ってしまう。結には無理をさせるが馬で連れていく。今すぐ用意してくれ」


二人は反対しなかった。
黙って頷き、すぐに馬を用意してくれた。
信頼出来る女中にしばらく城を留守にする事を伝えて、全速力で、でも結にできるだけ負担がかからないよう馬を走らせる。


「結、もう少しだけ頑張ってくれ」


「ぅ…しん、げんさま……」


幸い賊に見つかる事もなく安土城へと辿り着いた。


「つってもここ一応敵地ですけど……」


「俺が説得してきます」


説得は佐助に任せて、少し離れた所で待っていると血相を変えた徳川家康が走ってきた。


「とりあえず入って。信長様には俺から説明しておく」


「悪いな」

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