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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第7章 ✼月見草✼



§ 信玄Side §

謙信が城から出て行くのをたまたま見かけた。
まだ完全に治りきっていない謙信を心配して、後をつけた。



だが、どうだろう。
そこで見た光景は謙信が結を木に打ち付けている姿。
謙信はもう理性を保てていない。


(まずい!このままでは……!)


そう思った時には遅かった。
結の体は芝の上へと倒れ込む。


あぁ、ダメだ。
これ以上は。


結が壊れてしまう。



(すまない、結……)


心の中で呟いて、俺は嘘をついた。


「この女は俺の恋仲だ」


謙信はあっさりと信じてしまった。

言ってやりたいことは山ほどあるし、一発殴らないと気が済まない。


(その前に結がもうまずいな)


少し触れただけで分かるくらい体が熱い。
きっと高熱を出している。


「結、ごめんな」


結にだけ聞こえるように謝罪の言葉を口にして、結を横抱きにする。

再び城へと足を向けてからは、一度も振り返らなかった。
今頃自分がした事の重大さに気付いているだろうが……それに気付かれてもかける言葉はない。


(言いたいことは山ほどあっても……かける言葉はないな)


今謙信が後悔しているのは、俺の恋仲を傷付けたということ。
自分の恋仲を忘れていることには気づけていないのだから。


(もう限界だな……)


また一つ新たな決心をして、俺は城へと急いだ。

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