午後のひととき ~tea time lover~ *イケ戦*
第1章 珈琲慈光
「佐助くん、今日お誕生日でしょ」
「...そうだっけ?」
「あれ。もしかして忘れてた?」
がクスクスと笑う。
二十歳を越えてから、誕生日には無頓着だった。今日でいくつになったのかも、定かじゃない。
「うん。すっかり」
「あはは、佐助くんらしい~。でも、私は覚えてるよ。はい、プレゼント」
体を起こしたが、懐から取り出したのは若草色の巾着と、ハンカチのようなものだった。
「一応、まきびし入れと、眼鏡拭き。いつも袖で拭いてるみたいだったから...」
たしかに。
眼鏡拭きが無くて、いつも袖で拭いてばっかりだ。
「ありがとう。大事にする」
「うんッ」
が嬉しそうに笑うのも、忘れられないプレゼントの1つだ。