午後のひととき ~tea time lover~ *イケ戦*
第1章 珈琲慈光
「タンポポ珈琲って、知ってる?」
「タンポポ珈琲!?」
プレゼントを大切に懐へしまいながら、持ってきた荷物を漁る。珈琲が入った竹筒に行き当たってコップ代わりの竹筒を渡した。
「タンポポの根から作れるんだ。珈琲ってよりは麦茶に近いかな」
キュポンと栓を外して傾けると、珈琲色の液体がトポトポと行儀よく落ちて、竹のコップに収まっていく。
「わ、珈琲っぽい」
「焙煎するとこうなるんだ。口に合うかな」
「いただきます」
恐る恐る口をつけて少し啜(すす)ると、何とも言えない顔つきになった。
「美味しくない?」
「いや...う~ん.....初めて飲んだから.....」
スススス....ススス.....スススス...
「不思議な味っていうか、風味だね。でもこれ好き」
「そうか。口に合うならよかった」
試行錯誤した甲斐があった。
もし口に合わなくても、好みが分かるいい機会になったと思う。