午後のひととき ~tea time lover~ *イケ戦*
第1章 珈琲慈光
と一緒にお花見までの道すがら、手を繋いで歩く。
時間が経てば照れなくなるだろうと思っていたけど、実はそんなこともなくて、未だに緊張する。
指先が冷たくないだろうか。
手汗はかいてないだろうか。
握る力は強くないだろうか。
だから今も、あまりとの手繋ぎを心の底まで楽しめないでいる。
「お花見、どこまで行くの?」
「あそこの、ちょっと山になってる所まで」
「じゃあ、そんなに遠くないんだね」
「うん」
「佐助くん、花粉症とか無いの?」
「自覚症状は無いな。は?」
「私も花粉症はないんだけど、埃が多いと目が痒くなっちゃうの。でもここに来てからはほとんど無いなぁ」
が遠い目をした先は、何が見えているんだろう?
俺の知らないの世界。
が知らない俺の世界。