第4章 オレンジ色の
隅「じゃあ、ここで。」
翔「送るよ」
隅「ううん、ここがいい。
急いで帰れば暗くならないうちに帰れるから大丈夫。」
翔「そっ、か。」
隅「うん。
…じゃあ、バイバイ、翔。
1回名前で読んでみたかったの。
最後だから、許してね。」
一人の足音がまた聞こえて段々遠くなっていく。
盗み聞きするつもりはなかったんだけど、
聞いちゃったものはしょうがない。
聞く限りでは、いい雰囲気、という感じではないことは
バカなあたしでもよくわかった。
どうしても翔の表情が気になって、
せっかく死角を選んだのに下の方をギリギリ覗ける所に移動して、こっそりと見てみた。
翔はなんとも言えない真剣な顔で
隅野さんが通ったであろう階段の下の方を見て動かなかった。
しばらくしてまた足音が聞こえて、
また下の方を覗くと翔はそこにはもういなかった。