第8章 大阪城攻防戦 ~ 一期一振のキモチ ~ 上
ここに来て、思いもしない疑惑が出たことに内心動揺が走った。
(・・考えすぎな性分が裏目に出たな)
今は監査官の事を考える必要はない。
でも、今の思い出した記憶の中に何かヒントがあるはず。
問題は今目の前にいる一期一振の本心を探ることだ。
一期一振「・・・和解が目的だと、そう仰るのなら主は少し勘違いをしておりますな」
「・・・え?」
一期一振「貴女と私達の絆はまだ切れてはいません。なので命令とあらば私達はいつでも貴女と共に戦うことになりましょう」
「命令とあらば、か・・」
逆を言えば、命令でなければ協力すらしないということね。
本心を含んで言う辺り、曲者というか、出来る部下というのは話してるこちらも油断出来ない気持ちになる。
「私は形だけの主従を望むつもりはないよ、一期一振」
一期一振「・・・・」
「私に仕えていたのなら、そんなことくらい分かっていたでしょ?」(ニッコリ)
だから、相手の“本心”を掴んでいるほうが有利。
考えろ。
一期一振「えぇ・・、そうですね」(フフッ)
一期一振が驚いた顔をした後、少し嬉しそうに笑う。
「貴方が何を考えているかは予想はつかないけど、私は貴方の性格を知ってる。だから・・・」
彼が今も私を主だと言うのなら、一期一振が私を裏切っていることはない。
それなら何故、煽るような発言をする?
(・・きっと一期一振には私と戦わなきゃいけない理由がある)
そう仮定すると一期一振の『また貴女にお会い出来て嬉しいと同時に・・・心底、お会いしたくなかった』と言っていた言葉の辻褄が合う。
数少ない一期一振の発言、しかも曖昧な言葉しか発しないのにも違和感がある。
最初は私に何かを悟られないように話をしているのかと思っていたけど、
そうじゃない。
まるであの時の堀川が言葉を制された時のような--。
それと同じ違和感。