第8章 大阪城攻防戦 ~ 一期一振のキモチ ~ 上
柔らかな物腰と眉目秀麗な顔立ち。
胸に手を添えて一礼する姿のひとつひとつに一期一振という品格が溢れていた。
「歓迎・・・という感じにしては随分と畏まっているんじゃない?」
戦闘服に物腰にある刀。
そして粟田口の子たちから伺える、少し緊張したような張り詰めた空気。
(・・待っていたというよりは、“待ち構えていた”と言う感じかな)
一期一振「・・えぇ。そうですね」
憂いのある瞳がかすかに歪む。
一期一振「私は個人としての意見を言うならば・・・、また貴女にお会い出来て嬉しいと同時に・・・心底、お会いしたくなかった」
一期一振の様子から問答無用で刀を交わせる気はさそうだけど、
すんなり味方になる気も無さそうだな・・。
「それは・・あの最期のせい?」
それは何度も繰り返し夢で見た光景。
燃え盛る大阪城の中で、一期一振が飲まれていく後ろ姿。
一期一振『・・・ご容赦下さい』
何度も、何度も何度も、何度も夢で見た。
それが間違いなく彼の最期の姿だった。
一期一振「・・・やはり記憶が戻っていないのですね。まぁ、貴女の場合は例え戻っていたとしても決して言葉には言わないのでしょうけど」
「・・・・・」
確かに私はあまり自分の考えを言葉で表すのは得意じゃない。
その性格も、一期一振は重々に承知しているってこと。
なんだか、理解はしていても不思議な感覚になる。
「・・ほんとによく知っているんだね」
一期一振「ずっと貴女のお側におりましたから・・」
それなのに今、私と一期一振は対峙をしている。
理由はまだ分からないけど、一期一振にとってきっと許しがたいことだったんだろう。
(・・・一期一振を怒らせてまで私がやりかったことなんて)
『無い』
そう思うのに。
心の奥がざわめいて酷く痛む。
(この痛みがきっと、答えなんだろうな・・・)