第5章 せせらぎのキモチ
山姥切「あるじっ!!!!」
私を守るように両手を広げた山姥切の背中。
そして、その行動は。
山姥切がなにも武器を持っていないという証拠でもあって――。
山姥切越しにジリッと、土と靴が擦れる音がする。
堀川の性格上、冗談などではなく必殺の剣なのは間違いない。
「山姥切--ッ」
遮られた背中は思っていたより大きくて、掴んだ布から温かさが伝わる。
(・・・まだ、生きてる・・ッ!)
加州「あるじっ!!!」
安定「~~っにしてるんだよ堀川ッ!!!」
背後から加州と安定の声が聞こえた。
山姥切「・・・・」
山姥切が私を守っていた両腕を降ろす。
「山姥切っ!大丈夫!?」
山姥切「あ、あぁ・・俺は平気だ。だが・・」
私の方に顔を向けながら、ちらっと山姥切が正面を見る。
それにつられて正面を見ると。
(あ・・・・)
そこには綺麗なマントをなびかせ、堀川国広の刃を受け止めている監査官の姿があった。
監査官「・・・何をしている、堀川国広・・ッ」
堀川「・・・まさか貴方が来るなんて・・少し想定外だったかな」
刀を交じ合わせながら睨み合っている。
安定「あいつ、誰?」
「あれは・・・」
《--――アレノ名ハ、ナンダ?》
ドクン。
心臓が凍りつく。
加州「・・政府の奴だろ。たまに主のところに来てたから知ってる」
堀川「~~ッ」
刀剣での力比べは監査官の押し切り、堀川国広は間合いを取るように後ろに飛びのいた。
堀川「・・・・・」
監査官「・・・・・」
堀川が静かに刀を収める。
「・・・・」
本丸から騒ぎを察した刀剣男士たちが集まってくる。
監査官「・・再び問おう、堀川国広。なぜに刃を向けた」
仮面で表情は分からないが、ひどく冷たい声音で監査官が問う。