第5章 せせらぎのキモチ
~せせらぎのキモチ~
「ハァハァハァ・・・」
またあの夢だ。
本丸に来てから何度も何度も繰り返し見る夢。
(なんとなく自分に関することだって、分かってはいるけど・・)
これが何時の記憶かが未だに分からない。
過去かもしれないし、未来かもしれない。
「・・まさか時空超えてもないのに時差ボケになるなんて・・」
審神者のとしての努めを果たせば、とりあえず安泰だと思ってはいたけど。
どうやらそうではないことはこの一ヶ月で薄々と気がついていた。
窓際から心地いい夜風に身を任せるように、庭を見下ろす。
(問題が漠然としすぎてて、正直私としても対応のしようがないんだよね・・・)
だから本丸で政府に従いながら、思案していた。
平凡な日々の些細な違和感を探しながら。
夜空を見上げるように庭に佇む鯰尾の姿にふっと顔に笑みが浮かぶ。
(・・きっと、鯰尾と求めているものは同じ)
「・・鯰尾藤四郎」
ふんわりと、そっと言葉を夜風に乗せるように呟く。
静かな本丸では、その声さえも相手の耳に届く。
幼くも端麗な顔がハッとしたようにこちらを見る。
そして少し考えるような素振りをすると、姿を消した。
「・・・こら。屋根に登っちゃダメだって言ったでしょ?」(クスクス)
再び姿を表した鯰尾は屋根を伝い、窓際にもたれ掛かるように座り込んだ。
鯰尾「えー。でも主は俺たちに近づくと出血しちゃうんですよねー?」
「だいたい合ってるけど、目が合わなかったら割と平気だよ!?」
鯰尾「それに、昼間は加州さんや大和守さんがべったりで話せないじゃないですか」
あれは暇つぶしで私のところに居るだけのような気もするけど。
「頼りない主で、ごめん」
鯰尾「・・なんで貴女が謝るんですか」
愛嬌ある顔で鯰尾は笑う。
鯰尾「・・大丈夫ですよっ、きっと遠くない未来・・必ず来てくれると信じていますからっ!」
「・・・鯰尾」(ホッ)
彼は強い。
気丈な笑顔で不安も消しされる強さを持っている。