第13章 突然の入れ替わり
教室に入ると、綾香が目を輝かせて駆け寄ってくる。
「かっちゃん、おはよう!」
「……はよ」
俺が挨拶しただけで、コイツは幸せそうな顔をする。
「話がある」
俺がそう言うと、綾香は目を輝かせる。
このどうしようもない気持ちが何なのか、聞きたいんだ。
零に向ける気持ちが何なのか知りてぇんだ。
「俺、どうしようもねぇくらい零が愛しい」
「マジの恋バナじゃん!好きってことじゃん!」
ああ、なるほど。
この気持ちは……。
「零ちゃん、ウザイほど爆豪の話するよ。入れ替わる前からも」
紗希がそう言った。
「だけど、零ちゃんが本当に想ってるのは違うよ」
「分かってる、そんなこと……」
アイツは自分を嫌った先輩が好きなんだ。
確か、『涼介先輩』だっけ?
「まず、隣を歩けないからねぇ」
「クソ……」
綾香の言葉を聞いて、俺は呟く。
俺はお前が好きだ。
それでも、隣を歩くことすら許されねぇ。
「零……」
「本当に想ってるんだね……」
これが恋かよ。
胸が痛いな……。