第12章 生きなきゃいけない
最後の決め手的なことを言おうか。
「私は自殺しようとした」
すると、サッカー部の男子共が動きを止めた。
「リスカしても、逃げ出してもダメだった。現実は変わらなかった……そこの屋上で、死のうとしたこともある」
「えっ、零……」
綾香は心配そうな顔で見る。
「それほど辛かったの……死にたかったの……でも、死ぬことは出来なかった……」
私は拳を握り締める。
「親も離婚して散々だったよ……!そっちこそ、勘違いで変な噂を流さないでよ!」
私がそう叫んだ時だった。
「おい、お前ら……人の過去でいじめるな!」
担任の先生が怒鳴った。
「零ちゃん、呼んで来ておいたよ」
「紗希……」
紗希がこっそり先生を呼びに行ったらしい。
「零、大丈夫か?」
去年の担任も駆け付けてくれた。
「ありがとうございます。本人達に言えて、やっとスッキリしました!」
大嫌いで大好きな貴方にも言えたなら……。
そんな考えを振り払った。
何があっても生きなきゃいけないんだ。
かっちゃん、君はこの世界に来て何を知った?