第11章 離婚
「えーと、爆豪君の世界に零が居るってこと?」
零の父親が笑顔でそう聞いてきた。
「ああ……学校でみんなに囲まれて、こっちとは真逆の楽しい生活を送ってるんだろ」
「そっか。君はこの世界に来て、どんなことが起きた?」
そう聞かれて困った。
だけど、素直に助けを求めるのが最善だと思った。
「サッカー部のヤツらにいじめられた。蹴られたり、酷いこと言われたりした」
父親の顔が固まる。
「俺らは一日ごとに入れ替わる。その理由をアイツに聞いてみろ。アイツは自ら助けを求めることが出来ずに悩んでる」
この世界にも小さなヒーローは居るんだ。
だから、テメェも素直に助けを求めろ。
なぁ、零。
俺はお前をこの世の全てから守ってやりてぇ。
あの日記みたいなことが起きてほしくねぇんだ。
俺がお前のヒーローになりたい。
お前の隣を歩けたなら……。
「爆豪君、調べてみると強い男の子なんだね。だけど、君も人間だ。素直に泣いていいんだ。怖かっただろう」
零の父親が俺を抱き締める。
俺はガキのように声を上げて泣いた。