第11章 離婚
「君は、ヒーロー志望なのだろ?」
そこまで調べたのか。
俺は父親の言葉が胸に突き刺さった。
いつもクラスのヤツらに疑われたことがある。
いつもデクをいじめてたからなのか?
俺は最低な人間だったかもしれねぇ。
それでも、ヒーローになりてぇんだ。
「妻を失ったらこの先どうなるか分からない。だけど、そんなに君が嫌なら出て行っても構わない。僕らは、僕らなりに生きていくよ」
そんな零の父がカッコいいと思った。
デクもこんなこと言いそうだな。
「いや、大切な娘を傷付けるなら出て行け。僕は弱い人間だからこそ、この子を全力で支えてあげられる自信がある」
「なっ……」
「今ここで謝るか出て行くか、どっちかにしろ」
父親がそう言うと、完全に女は黙った。
女は大きい舌打ちをする。
「ああ、こんな家なら出て行ってやるわよ!じゃあね、社会のゴミ共」
女は自分の荷物をまとめ、離婚書を書いて出て行った。
俺はその場で固まっていた。