第11章 離婚
「あんな腐った無気力な子供はこの世に必要無いの。要らない人間なのよ」
「止めろ!」
コイツの父親が必死に止めようとしている。
それでも、コイツの母親は酷い顔をして言っていた。
「あんな子、醜いの。あの顔が、全てが嫌なの!」
体育祭で聞いた轟の話に似ていた。
半分野郎も母親に言われて、煮え湯を浴びせられた。
俺も、俺も浴びせられるのか……?
「あんなヤツ、大嫌いよ!」
俺の中で何かが切れた。
それと同時に涙が出て、母親の前に居た。
「ふざけてんのはテメェだろ?コイツがどれだけ辛ぇ思いしてたの知らねぇのか!産み親じゃなかろうと、テメェはコイツの母親だろ!」
「えっ……」
両親は驚いた顔をしている。
急にこんな口調じゃおかしいよな。
ちゃんと、入れ替わりが起きているのを白状しねぇといけねぇ時が来たな。
「俺は数日前から顔も名前も知らねぇコイツと入れ替わりが起きてる。それで知ったんだ。コイツがどれだけ辛い思いしてんだか」