第9章 初仕事
その時
「着きました」
「「「え……」」」
立ち止まって、周りを見回す敦、谷崎、ナオミ。
そこはひとけのない裏路地だった。
「こちらです」
「なんか、気味の悪い処ですね」
「ん~…おかしいな。本当に、ここなんですか?ええっと……」
「樋口です」
「ここ、袋小路ですよね。捕り方がそっちから来たら逃げ場がない」
「その通りです。失礼とは存じますが、嵌めさせていただきました」
樋口の態度が急に変わる。
そして、その冷たい目に、ガンゴーグルをかける。
「私の目的は、貴方がたです」
「「「!」」」
樋口は携帯で連絡する。
「芥川先輩…」
「「芥川!?」」
「予定通り捕らえました」
『重畳……五分で向かう』
「こいつ」
「ポートマフィア!」
樋口は隠し持っていたサブマシンガンを両手に構え、谷崎を狙う。
銃口が火を噴く。
その頃探偵社では太宰が急に驚いた。
「始まった?」
「うん、さて私達も行こうか」
~裏路地~
樋口の手にしたサブマシンガンが谷崎を狙い火を噴いた。
しかし、谷崎には当たらなかった。
谷崎の前にはナオミが立ちはだかり、両手を広げて盾になっていた。ナオミの体は銃弾を受け、そのセーラー服は血まみれになった。
「兄……様……大……丈……夫?」
倒れるナオミを抱きとめる谷崎。
「ナオミ、ナオミ!」
ナオミはすでに意識もなく、地面に崩れる。
谷崎は激しく動揺した。
「ど、どうしよう…そうだ!止血帯!!敦君!止血帯持ってない?いや、まず傷口を洗って…ああ違う!与謝野先生に診せなきゃ」
マシンガンの交換が終わった樋口が谷崎に銃を突きつける。
「そこまでです…貴方が戦闘要員でないことは確認済みです。健気な妹君の後を追って頂きましょうか」
「………あ?」
谷崎の態度が豹変し樋口を睨み付ける。
「?」
「チンピラごときが…よくもナオミを傷つけたね」
谷崎はナオミを抱き上げ
「異能力『細雪』!」
その瞬間、周囲に雪が舞い始める。
「この季節に雪?」
「敦君!奥に下がっているんだ!」
「え」
「こいつはボクが…殺す!」
樋口は谷崎に向かって再び機関銃を撃つ。
だがその銃弾は谷崎の体を通過し谷崎の体は薄く透明化し、ついには消えてしまう。