第8章 入社試験
その様子を見ていた二人はこう思った。
《敦君、駄目人間の演技上手いなぁ………》
「ね だから爆弾捨てて一緒に仕事探そう」
青年が怯んだ隙に太宰は国木田に合図を送ると手帳に急いで書き頁を切った。
「『独歩吟客』手帳の頁を鉄線銃に変える」
国木田は鉄線銃を青年に向け手から遠隔起爆装置を飛ばした。
「「確保っ!」」
そして国木田は青年に蹴りを入れて拘束した。
太宰とユウリは机に座り、ハイタッチをした。
「「一丁あがり~」」
しかし、爆弾を見ると何故かタイマーが動いていた。
「まさか!落としたときにスイッチが入っちゃったの!」
「なっ」
次の瞬間、敦は爆弾の上に覆い被さっていた。
「「莫迦!」」
ピッピッ
しかし、タイマーが0になっても爆発しなかった。
敦は目を開けると四人が敦を見ていた。
「やれやれ…莫迦とは思っていたがこれほどとは」
「自殺マニアの才能があるね彼は」
「へ?………………え?(゜_゜)?」
困惑する敦。
すると敦の横を物凄い勢いで通りすぎ先程の青年、谷崎に人質だったナオミが抱きついた。
「ああーん♥️兄様ぁ!大丈夫でしたかぁぁ!?」
「痛だっ!?い痛いよナオミ。折れる折れるって云うか折れたァ!ギャーー!」
「…………………へ?(゜_゜)?」
更に困惑した敦。
「恨むなら太宰とユウリを恨め。若しくは仕事斡旋人の選定を間違えた己を恨め」
「そう云うことだよ、敦君。つまりこれは一種の入社試験だね」
「入社………試験?」
「その通りだ」
後ろのドアから1人の男性が出てきた。
武装探偵社 社長
福沢諭吉
能力名『人上人不造』
国木田が福沢に頭を下げた。
「社長」
「しゃ社長!?」
「そこの夏目と太宰めが「有能なる若者が居る」と云うゆえ、その魂の真贋試させて貰った。」
「敦君、君を社員に推薦したのだけど如何せん君は区の災害指定猛獣だ」
「保護すべきか社内でも揉めてね」
敦は開いた口がふさがらなかった。
「で 社長の一声でこうなった と」
「で社長………結果は?」
福沢は敦を見た。
「夏目と太宰に一任する」
そう言い去っていった。
ボーとしている敦にユウリは声をかけた。
「合格だってさ」
敦は太宰に顔を向けた。
「つまり…………?僕に斡旋する仕事っていうのは此処の………?」