第8章 入社試験
敦side
1人の青年が女学生を人質に取っていた。
「…嫌だァ…もう嫌だ…全部お前等の所為だ…武装探偵社が悪いンだ!社長は何処だ!早く出せ!でないと…爆弾でみんな吹っ飛んで死んじゃうよ!」
青年は爆弾の遠隔起爆装置を持って、そして近くにはタイマーの付いた爆弾が置いてあった。
僕と太宰さん国木田さんそして入り口で合流した夏目さんと一緒に物陰に隠れ様子を伺っていた。
「怨恨だ。犯人は探偵社に恨みがあって社長に会わせないと爆破するぞ と」
「ウチは色んな処からうらみます買うからね」
夏目さんが物陰からこっそり顔を出し爆弾を見た。
「うん…………あれ高性能爆薬だ。この部屋くらいは吹き飛んじゃうね。爆弾に何か被せて爆風を抑えるって手もあるけど………この状況じゃなぁ」
「会わせてあげたら?社長に」
という太宰さんに国木田さんは怒った。
「殺そうに決まってるだろ!それに社長は出張だ!」
「となると…人質をどうにかしないと」
突然、僕以外の三人が向かい合った瞬間じゃんけんをしだした。
ぽんっ ぽんっ ぽんっ
結果は国木田さんが一人負けをした。
悔しそうな顔をする国木田さんに二人は物凄く良い笑顔をしながら無言で「早く行け」という身振りをした。
国木田さんは青年に声を掛けたが顔がバレてしまっているので手出しができなくなってしまった。
太宰さんは考え込んで
「社員の私達が行っても余計警戒されるだけか……」
「どうする?治」
二人はずっと黙って見ていた僕を見ると「にやぁ」という効果音が付くほどの笑顔をした。
結果、面が割れていない僕が犯人の気を逸らさせることになった、強制的に(T-T)
「ややややめなさーい!親御さんが泣いてるよ!」
「な何だアンタっ!」
「ぼぼ僕はさ騒ぎをき聞きつけた一般市民です!いい生きてれば好いことあるよ!」
青年は遠隔起爆装置を向けながら
「誰だか知らないが無責任に云うな!みんな死ねば良いンだ!」
「ぼ僕なんか孤児で家族も友達も居なくてこの前その院さえ追い出されて行くあても伝手も無いんだ!」
(無意識に)気迫が増した僕に怖じ気づいた青年に更に拍車をかけた。
「害獣に変身しちゃうらしくて軍警にバレたら縛り首だし、とりたて特技も長所も無いし、誰が見ても社会のゴミだけどヤケにならずに生きているだ!」