第6章 花火に込める思い
~お祭りの入り口前~
私たちは集合場所に着くと森さんが駆けてきて、エリス嬢を抱っこした。
「エリスちゃーん、可愛いよ!物凄く似合ってるよ!やっぱり、エリスちゃんには浴衣ドレスが似合うね」
「ちょっと!リンタロウ、恥ずかしいから下ろしてよ!」
森さんの後から治、中也、芥川君、広津さん、梶井が来た。
治は青色の浴衣。
中也は茶色の浴衣にいつもの帽子。
芥川君は黒の浴衣。
広津さんはグレーの浴衣。
梶井は檸檬柄の浴衣にいつものゴーグルとマフラー。
すると中也が顔を赤くしながら何か言いたそうにしていた。
「よぉ、えっと・・その」
横から治が少し頬を赤らめながら手を握った。
「ユウリ!滅茶苦茶可愛い!」
「あっ!太宰手前、俺が先に言おうとしてるのに先に言うなよ!」
「えー、だって中也遅いんだもん、良いじゃないか。それに私が先に言いたかったんだから。ほらユウリが待ってるよ。」
中也は真っ赤になって、そっぽを向いたかと思うと
「似合ってる。」
私は笑顔になって
「二人ともありがとう」
「それじゃ、各自で夏祭り楽しんでね。」
そう言うと森さんはエリス嬢に半ば引っ張られながら人混みの中に消えていった。
私は治と中也の手をとって屋台を回り初めた。
そして、私の両手には綿飴とリンゴ飴、治の手にはヨーヨー、中也の両手にはフランクフルトとベビーカステラが収まっていた。
「中也、綿飴一口あげる。はい、あーん」
中也が食べようとした瞬間、隣から手が伸びてきて私の手を掴みそのまま綿飴は治の口に行った。
「うん、おいしい!」
「おい!太宰、ユウリは今俺にくれようとしたんだぞ!」
「中也はそのフランクフルトを食べてなよ。」
「もう、今日位楽しくいこうよ。」
二人の様子を私は笑顔で見てた。