第6章 花火に込める思い
~翌日~
箪笥の奥から浴衣を出した。
濃紺地に青さざんかが描かれている浴衣だ。
この浴衣は一昨年の誕生日にじいちゃんから貰ったものだ。
だけど、まだ一度も袖を通していないからやっと着る機会がきて嬉しく思ってる。
浴衣一式を鞄に入れて姐さんの家に向かった。
~尾崎宅前~
ピンポーン
ガチャ
「いらっしゃい、もうエリス嬢とQと銀はきておるよ」
「お邪魔します」
リビングに行くともう浴衣に着替えたエリス嬢とQちゃんが抱きついてきた。
「エリス嬢!Qちゃん!」
「ユウリ!後で髪やって!」
「良いですよ、でも少し待ってもらえますか?」
「良いわよ」
「ユウリや、銀の着付けが終わったからおいで」
姐さんに呼ばれて隣の部屋に行くと赤い生地に百合の花が描かれた浴衣を着た銀ちゃんがいた。
「銀ちゃん!凄く似合ってる」
銀ちゃんは照れながら
「ありがとうございます///」
それから姐さんに着付けをしてもらい髪型も整えて三人の所に戻った。
私の姿を見た三人は誉めてくれた。
「ユウリお姉ちゃん、綺麗!」
「ユウリ!似合ってるわ」
「夏目幹部、凄くお似合いです。」
「ありがとう」
それからエリス嬢と銀ちゃんの髪型を整え終わった頃、姐さんの支度も終わったようだ。
すると姐さんが質問をしてきた。
「ユウリや、そういえば首にかけている小さな袋は何が入っているのかね?」
「これのこと?」
私は浴衣の下から首にかけている袋を出した。
「何が入ってるの?」
Qちゃんが興味津々に聞いてきた。
「ビー玉だよ。」
「ビー玉?」
私は袋から虹色に光るビー玉を出した。
「「わー!綺麗!虹色だ」」
エリス嬢とQちゃんが感嘆の声を上げた。
「これはね、世界に二つしかない特別なビー玉なんだよ。」
「これ、誰から貰ったんですか?」
「誰から貰ったのかは覚えていないんだけどね、私にとって特別な人だって事は覚えているんだ。それにね、もうひとつのビー玉はそのくれた人が持っていると思うの。だから、又いつか会えると良いなって思っているんだ!」
「会えると良いですね。」
「うん!じゃあ、そろそろ行こう」
その時、姐さんが相手が誰かなのか分かり少し悲しそうな顔をしたことに私は気が付かなかった。