第4章 太宰 中也 夏目 十五歳
~擂鉢街~
「横浜疎界、かつて此処で巨大な爆発がありました。その跡地に何時からか勝手に町を創り始めた。其が此処、擂鉢街です。」
「ふーん」
「外国にはメッキを飲む自殺法があるのか。」
「但し、飲んだ者は生きながら内臓を溶かされる。って書いてあるけど。」
「うぇ、試さなくて良かった。」
ポートマフィアの構成員に擂鉢街を案内してもらいながら、太宰の『完全自殺読本』を二人で読んでいた。
夏目は、『自殺』する事には興味は無いが『自殺法』には興味があったので一緒に読んでいたのだ。
「ねぇ、今の知ってた?え~と、」
「広津です。参考にさせていただきます。」
太宰は、本から顔をあげて広津と名乗った構成員に聞いた。
広津は、心の中で呟いた。
『この少年、首領と共に先代の最後を看取った者侮ってはならない。』
「太宰さん、「治」・・・え!」
「君と僕、同い年でしょ。 ユウリって呼ぶから君も治って呼んでよ。」
太宰が夏目の言葉を遮りそう言ってきた。
「あ、うん、分かった。」