第1章 君との約束、あなたとの約束
「桜、綺麗だね」
裕太「うん………」
「……………」
裕太「…………ごめん」
「もう謝らないで」
裕太「……………」
あの頃の私は、まだ彼の夢を支えるほど大人じゃなかった。
少しでも彼の負担になりたくなかったから、別々の道を選んだ。
裕太「10年………」
「えっ?」
裕太「10年たって俺が有名になったら、またこの桜の下で会おう」
「裕太…………私…………約束守れないかもしれないよ」
裕太「構わない…………けど、もしお互いを想っていたら、ここで逢おう」
そう言うと、裕太は私の前から去った。
10年なんて、きっと忘れてるよ。
なのに、どうしてこんな約束をするの?
私はあなたを忘れようと思っていたのに、これじゃ…………忘れられないじゃん。
「裕太…………ぅぅぅ」
いつもそう………あなたを見ると昔を思い出し涙を零す。
明日でちょうど10年目。
あなたは覚えているだろうか…………