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上手な生き方【ONE PIECE・ロロノア・ゾロ】

第4章 鬼の住処にいる蛙



先程登場した金髪にゾロが"七光りのバカ息子"と毒づいたのを聞くに、やっぱり彼がモーガン大佐の息子だったようだ

下睫毛が妙に気になるバカ息子はずんずんと女の子の方へと近づいていく


「おやおや、お嬢ちゃん。おいしそうなおにぎり持って差し入れかい?」

「あ!だめっ!!」


バカは女の子から奪い取るようにおにぎりを掴むと、一口、バクリと食べてしまった

途端、すぐにぷへェ!と吐き出してしまう



「...!」

「名前...お前、塀が」



つい怒りを露にして塀にピキリ、とヒビを入れてしまった私にルフィが驚いたように目を丸くする

そんなことをしているうちに、バカによって女の子が折角作ったおにぎりがぐしゃぐしゃに踏み潰されてしまう



"父さま、今日はおにぎりを作ったの"



許せない

あの子が、一生懸命作ったものを

どんな思いで作ったかも_知らないで

腸が煮えくり返るような怒りが、沸々と奥底から沸き上がって来ては、塀を掴む手に力が入った



「名前さん...!その辺にして下さい、海軍に気付かれます!」


コビーの声では、と我に返った
捕まっていた塀は握っていた所周辺がバキバキに割れてしまっている


しまった...と、頭を抱えた


私は普通の人より力が強い種族の生まれ

見境無く力を使ってしまえば、国一つ滅ぼすことができると幼い頃から口酸っぱく言われてきた

怒りの反動で、たまにこうやって力を籠めすぎてしまうことがある

つ、次からは善処しよう...



「いやああ!!」

「うわっ!」


塀の向こうから、女の子が飛んで来る

咄嗟に抱き止めて、地面に着地した



「君、大丈夫?おにぎり...残念だったね」

「お姉ちゃん...うぅ」


よしよし、と頭を撫でてやれば今まで溜め込んでいた分の涙がボロボロと溢れ落ちてくる

ルフィは私と女の子を一瞥すると、バカ息子たちが去っていくのを確認して塀を越えていった


「...コビー、この子をうちまで連れていってくれる?」

「あ、は、はい!あれ、名前さんは?」



コビーに女の子を引き渡して、塀の向こうへとひとっ飛びする

「おにぎりとルフィのこと、放っておけないから!後でちゃんと戻る!」


塀を越えて形を無くしたおにぎりを見るとどうしようもなく心が傷んだ
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