上手な生き方【ONE PIECE・ロロノア・ゾロ】
第4章 鬼の住処にいる蛙
「なんだテメェらまだいたのか、ボーッとしてると親父にいいつけられるぜ」
「まァね」
近くで見ると、ゾロはがっしりした体躯で、本気で力を入れれば縄なんて簡単に引きちぎってしまえそうだ
それをしないのには、何か深い事情がありそうだ
「俺は今、一緒に海賊になる仲間を探してるんだ」
今はコイツが候補一人目!と私の肩を抱いてニシシ、と笑うルフィ
いつの間に候補に入れられていたのかは知らないけど、ルフィは私を仲間にする気満々だ
言いたいことは沢山あるけど、この場は流してゾロに向き直った
ゾロはというと、俯いたまま目だけで私の方をジロリと見上げている
そのあまりにも冷徹な視線からはひしひしと嫌悪が滲み出ていた
「海賊だと?ハンッ...自分から悪党に成り下がろうってのか、御苦労なこって」
「そんな言い方無いでしょ、海賊だって皆が皆悪党ってワケじゃないわ」
ゾロの不躾な言い様にカチン、ときて反論する
あァ?と鋭い眼光を向けられながらも怯まずに一つ鼻を鳴らしてやった
_内心は結構怖かったけど
「なりたいのは俺の意志だ!海賊になりたくて何が悪い!!」
「ルフィ...」
ゾロの言葉にルフィもカチン、ときたのかさっきの愉快そうな笑顔とは裏腹に厳しい表情を見せる
ルフィの目には有無を言わせない強い意志が見えた
その意志の強さと、あまりにも真っ直ぐな心に興味を牽かれる
_ルフィと海賊をやったら、どんなに楽しいだろう
そんなことを考えるほどには完全に彼に興味牽かれていた
ゾロは縄をほどいた暁に仲間になれと言うんじゃないかと指摘したけれど、ルフィはゾロの評判が悪いことを理由にまだ誘うつもりはない、とキッパリ言った
コビーは人の姿を借りた魔獣だとか、そんなことを言っていたし、私はさっきの物の言い草が特に気に入らなかったので当然だ、とまた一つ鼻を鳴らした
ゾロは一ヶ月飲まず食わずの状態で突っ立って生き延びたら解放してやるとあの息子に約束したらしい
だから、こちらから願い下げだと言う
_けど、ゾロは明らかに騙されている
ルフィもこのゾロも単純だから分からないかもしれないけど、さっきの息子の態度といい、ゾロはイイ玩具にされている
態度はムカつくけど、女の子のことを思うとどうしても彼が放っておけなかった