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さいしょのさ

第1章 1


人理修復のさなか。緊急時の多いこの旅に、緊急時の魔力供給はないとはいえない。
でも魔力供給って突き詰めるとアレなわけで。
齢17の清らかな身空はまだ夢見がちで、最初ってものにこだわっている。

「よし、決めた」
緊急時に後悔しないように。
”初めて”を先に誰かにあげちゃおう。



その夜は過ごしやすくて、早めにお風呂に入ることができた。ふとんも整えて、寝る準備は万端。
布団に横たわって体の力を抜く。寝る姿勢を見せた途端、ふわりと真横で実体化するサーヴァント。知らないうちに部屋に入ってきて、こうやって私が寝るのを待っている。

「ますたぁ…♡」

清姫だ。私のことを一心に追いかけて、恋に心焦がすかわいい私のサーヴァント。最初はその熱心さにびっくりもしたけど、かなり力を貸してもらったのも確かだった。サーヴァントの能力を数値化したパラメータにうちの「絆」も、マシュを除き彼女が一番高い。

いわゆる同衾というかたちで向き合って布団に入り、すりすりとすり寄ってくる。いつも清姫を抱き枕がわりにして眠るのだが、今日ばかりはふと思いついてしまった。
女の子って初めてのカウントになるのかな?

「ね、清姫…」
そっと指できれいな頬に触れる。そのままつかず離れず、顔をなぜると清姫の頬が赤くなっていく。生娘みたいだ。私もだけど。

「ますたぁ、お戯れを…」
私の手に触れて切なそうに眉を顰める。間近で見る清姫の顔はすごく整っている。唇は…ふっくらとして、一切の荒れがない。うらやましい。…やわらかそう。
雰囲気のままそっと口を合わせる。女の子相手でも、さすがにドキドキがすごい。友達だったらこうはいかない。まるで私に恋してるかのように、私に仕えるサーヴァントだからできるのだ。

「あっ、清姫ごめん、今のはあれなの。」
「………?」

ちゃんと説明しないと。清姫相手に不誠実は困る。

「私、まだ魔力供給…そういうこと、キスすらしたことなくて、でも緊急時になりゆきで初めて失うのは嫌だと思って、先に初めてを誰かに…貰ってほしくて…」
「まぁ…それでわたくしを…?なんという光栄…」

清姫は涙目になって感激しているが、この話にはまだ続きがあるのだ。
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