第12章 仕事仲間
「リヴァイ!」
その二人が前触れもなく現れたとき、リヴァイとマヤは いつもの公園のブランコに座って談笑していた。
マヤが声がした方を見ると、スラっと背の高いポニーテールで眼鏡をかけた女性と、彼女よりさらに高身長の口髭とあご鬚を少しずつたくわえた男性が、公園の入り口に立っていた。
次にマヤがリヴァイを見ると、リヴァイは骨ばった指で顔を覆っていた。指の隙間から見える顔は、苦虫を噛みつぶしたようだ。
「いや~、こんな可愛い子と一緒だったとはね!」
そう言いながら眼鏡の女性は、ずんずん近づいてきた。
マヤが立ち上がると、眼鏡の女性は右手を差し出した。
「私はハンジ・ゾエ。このデカいのはミケ・ザカリアス。私たちはリヴァイの仕事仲間なんだ。君は?」
「風丘マヤです」
そう答えて マヤは握手に応じた。
……リヴァイさんの仕事仲間?
えっと…、それじゃ ホストクラブの人ってことよね?
ハンジさんって人はなんだろ? お店のママさんかな?
で、ミケさんって人はホストって感じでもないし…、あ! お店の用心棒かな?
「マヤちゃんか~、なるほど マヤちゃんね~! そういうことか」
「……はい?」
「いやいやなんでもないよ、こっちのことだから気にしないで。兎にも角にも よろしくね!」
「はい、こちらこそ よろしくお願いします」
マヤがそう返事するかしないかのうちに、いつの間にか背後に立っていたミケは マヤの首すじあたりをスンスンスンスンと嗅ぐ。
……何!?
ミケの突拍子もない行動にマヤが固まっていると、ミケはフンッと鼻で笑った。
……ええええっ、私 臭いってこと!?
「あははは、ミケは初対面の人の匂いを嗅いでは鼻で笑うクセがあるんだ。深い意味は無いと思うから気にしなくていいよ!」
……いやいや 気にしますって!
救いを求めるようにマヤがリヴァイの方を見ると、恐ろしく機嫌の悪い声が放たれた。
「なんの用だ、クソメガネ」
「リヴァイの不調の原因を探りに来たんだよ」