第11章 嫉妬
週明けの月曜日。家の最寄り駅の改札を抜けたマヤは、リヴァイがいつもと同じ姿勢… 壁にもたれかかって腕を組みうつむいて待っている…のを見て、心が弾んだ。
「リヴァイさん!」
「……お帰り」
「ただいまぁ!」
「ご機嫌だな」
「だってリヴァイさん もう来ないかもしれないって思ってたから」
「……俺も 相当な暇人だな」
「ですね~、ふふ」
二人は肩を並べて、図書館に向かって歩き出した。
いつものグループ学習室で、いつもの時間が流れた。机の上には、リヴァイが買ってくれた いつものミルクティー。
……良かった。リヴァイさんが来てくれて。こうやって また一緒にいられて。リヴァイさんの顔を見られるだけで… 幸せ。
マヤが そんなことを思いながら、リヴァイの顔をこっそり見ていたら、リヴァイが顔を上げた。
なんだ? と言いたげな顔をするリヴァイに、気恥ずかしくなったマヤは席を立った。
「ちょっと トイレに行ってきますね」
トイレから出て学習室に戻ろうとしていたマヤは、自分を呼ぶ声に立ち止まった。
「マヤ?」
振り返ると、懐かしい顔が笑っている。
「ジャン!」
マヤを呼び止めたのは、中学3年生のときにつきあっていたジャン・キルシュタインその人だった。