第9章 紅茶
今日もマヤは放課後、リヴァイと一緒に図書館にいた。
実は今日の予習復習はとっくに終わっていて、マヤは自習しているふりをして、リヴァイをこっそり見ている。
リヴァイはどうやらワーズワースは読み終わったらしく、昨日からドゥイノの悲歌に没頭している。
そっと観察していると、時々 眉頭がピクッと動いている。
…………可愛い…。
おまけに口が半開きだ。
…………色っぽい…。
やばい、どうしよう。リヴァイさん かっこよすぎてドキドキする。
マヤが今日何度目かわからないチラ見をすると、ガッツリこっちを見ているリヴァイと目が合った。
「おい」
……盗み見していたこと、怒られる! マヤは目をつぶって首をすくめた。
「明日、時間あるか?」
「へ?」
怒られるとばかり思っていたので、予想外の言葉にマヤは変な声が出てしまう。
「明日…ですか?」
……明日は土曜日だ。マヤの学校は週五日制なので、土曜に授業はない。
「特に予定はないですけど…」
「紅茶を飲みに行くぞ」
「……はい?」
「行くのか行かねぇのか」
……これは仮にも誘っているのだろうか。怖いんだけど…。
「……行きます」
「……ならいい…」
リヴァイは再び、ドゥイノの悲歌に目を落とした。
「あの~」
マヤは おずおずと切り出す。
「なんだ」
「リヴァイさん、もしかして これってデートのお誘いですか?」
リヴァイは じろっと目を向け、言い放った。
「馬鹿言え デートじゃねぇ、礼だ」
「あぁぁぁ… 忘れてました。私がリヴァイさんにするお礼ですね…」
「そうだ。しっかり礼をしろよ」
「はぁい…」
マヤはそう返事したものの、内心 どうお礼をするのだろうと思っていた。紅茶を奢ればいいのだろうか?
まぁいいか。どうしたらいいかは明日わかる。
そんなことより、リヴァイさんと一緒に過ごせる。
………嬉しい!