第6章 公園
「リヴァイさん…」
マヤは、涙で濡れた頬を温かな風が通り過ぎるのを感じた。
今まで こんなにも自分の心に寄り添って、優しく力強い言葉を投げかけてくれた人がいただろうか。
「……ありがとうございます」
マヤはブランコの鎖を持つ手に、ぐっと力をこめた。
「心が… すっと軽くなった気がします」
そして はにかみながら、リヴァイをまっすぐ見た。
「……私、もし今ベンチに座っていたら、リヴァイさんに抱きついていたかもしれません」
「チッ」
「チッじゃないですよ、照れないでください」
マヤはブランコを漕ぎ始めた。どんどん揺れは大きくなる。
「リヴァイさん ありがとう」
……笑ってやがる。泣いたり笑ったり忙しいやつだな。
リヴァイは そんなマヤを悪くねぇと思った。
この日マヤを家まで送ったリヴァイは、初めて「ゆっくり休め」と声をかけた。
マヤは嬉しそうに「おやすみなさい」と返した。
黄昏月が、静かに二人を見守っていた。