第4章 図書館
次の日、マヤは帰る前に教室の窓から正門をちらっと見た。
……誰もいない。
そりゃそうよね。いたら困るし。一体 昨日の出来事はなんだったのだろう。
あの人… リヴァイさんは、私をどこに連れていきたかったのだろう。
正門を過ぎ、昨日リヴァイに引きずられた道を歩き 角を曲がる。
コインパーキングには、一台も車はとまっていなかった。
「ふふ」
何を私は ほっとしているのだろう。自意識過剰すぎるよね。
そう思いながら駅につづく道を行く。
昨日は あんなことがあったし、勉強に集中できなくて早々に寝てしまった。今日は図書館に寄って帰ろう。
家の最寄り駅から歩いてすぐのところにある図書館は、自習室が充実していて よく利用していた。
完全個室もあるが、そこは机の幅が狭く またカーテンで仕切られたパーソナルスペースになっていて閉塞感があるので、他の自習室が満杯のときだけ利用する。
マヤがよく使う自習室はグループ学習室だ。六人掛けになっているが、そこを利用する者は暗黙の了解で 二人か三人で利用する。ガラスのパーテーションで間仕切られてあり、連れの者とひそひそ話程度なら差し支えない。
しかし大概は他人と相席になるので、会話は入室するときの「同席しても よろしいでしょうか?」と、退室するときの「お先に失礼します」だけなのだが。