第2章 屋上
「何見てやがる」
「み、み、み、見てません!」
「まぁいい。で、お前はそのLIVEを抜け出して ここで寝ていた訳か」
「はい…」
「チケットを手に入れるのは大変なはずだが、全く聴きもしないで出ていくとはな…」
「……私、No Nameのファンじゃないんです…」
「あ?」
「友達に頼まれて、トイレ交代要員として渋々…」
なんだか目の前の男の機嫌がさらに悪くなったような気がする。早くこの場から逃げなければ!
「……そもそもここは、関係者以外立入禁止のはずだが?」
「ごめんなさい!」
マヤは、鞄を引っ掴むと走って逃げ出した。
「チッ…」
女が寝ていた場所に何か落ちている。男はそれを ゆっくりと拾った。