第17章 揺るぎない想いと誓い
数日前から、学校は冬休みに入っていた。
「行ってきま~す」
マヤは、図書館に向かった。
家で勉強していたが、気分転換に学習室を利用しようと思いついたからだ。
今日は、12月25日。
昨日まで、あんなにクリスマスで大騒ぎしていたのに何故だろう。クリスマス本番の今日になると途端に、その熱狂は薄れていく。
今 前を通りかかったケーキ屋さんでも、クリスマスケーキ半額と手描きのPOPが踊っている。
「マヤちゃん!」
呼ばれた方を見ると、見覚えのある顔が手を振っていた。
「ハンジさん!」
「マヤちゃん、元気?」
「あっ はい。あの…」
突然 目の前にハンジが現れて、マヤは何を言ったらいいかわからずにいた。
……とりあえず リヴァイさんのことを訊かないと…!
そう思ったとき、ハンジの口から出た言葉にマヤは混乱した。
「マヤちゃん、ちょっと一緒に来てもらえるかな? うちの社長が呼んでるんだ」
「……はい?」
「時間あるかな?」
「あっ はい。でも… あの… 社長さん?」
「うん、こっちこっち」
ハンジに手を引かれ少し行ったところに、黒のベンツのVクラスが停車していた。窓にはスモークフィルムが貼ってあり中の様子は見えない。
ハンジは後部座席のドアを開けると、先に乗りこんだ。
マヤが もじもじしていると、
「マヤちゃん、時間 大丈夫なんだよね?」
と、ハンジはもう一度確かめる。
「……はい」
……何がなんだかわからないけれど、ハンジさんにリヴァイさんのことを訊かないと! そのためには車に乗らなくちゃ!
マヤは意を決して、車に乗りこんだ。
マヤが座ってドアを閉めると、運転席の男性が振り向いて挨拶してきた。
「俺はモブリット・バーナー。よろしくね」
「風丘マヤです。よろしくお願いします」
……優しそうな人だな…。
あれ? 今日はミケさんじゃないんだ。
こんな優しそうな人は、用心棒じゃないよね。でも… ホストでもなさそうだし…。
……運転手?
モブリットのやわらかそうな茶色の髪を見ながら、そんなことを考えていたマヤだったが、ハッと気づいた。
……そんなことより、リヴァイさんのことだった!