第14章 命令
……愛している? 俺が… マヤを?
気になる存在であることは確かだ。一緒にいたい。ただそれだけだが…。
……これは 愛なのか?
……これが 愛なのか?
眉根を寄せ、真剣に考えている俺を見るエルヴィンの表情は、厳しさの中に優しさが垣間見られた。
「……リヴァイ、素性を晒して彼女に気持ちを告げ、なおかつ彼女からも愛される自信と覚悟があるのか?」
マヤに愛される自信と覚悟…?
思い起こせば、俺はマヤに逃げられてばかりだ。
LIVE会場を出ていく女を見たのは、あのときが初めてだった。
その後 屋上でも逃げられ、学校に行っても逃げられ、逃げられなくなったと思ったらエレベーターでは泣かれ、キスしようとしても突っ撥ねられ…。
……ダメだ、受け入れられる気がしねぇ。
黙止している俺に浴びせるエルヴィンのよく響く声は、部屋の隅々に広がっていった。
「あのエアロスミスのツアーに関われるんだぞ。ミュージシャンとして、これ以上の栄誉はないはずだ」
「このまま風丘マヤには会わずに、海を渡れ。彼女と距離を置くんだ。ツアーに集中しろ。そうすればきっと、彼女のことは忘れられる」
「それがお前のためであり、ここにいるハンジやミケのためだ」
うなだれる俺に、最終通告を突きつけた。
「……リヴァイ。これは命令だ、従え」
「……了解だ、エルヴィン。お前の判断を信じよう」