第2章 屋上
命からがら会場から脱出できて喜んだのも束の間、建物の外に出るドアが封鎖されていることを知った。
いくら今をトキめくカリスマバンドだからといって、どれだけ厳戒態勢なんだ。
息苦しくて一刻も早く外の空気を吸いたかったマヤは、なんとか外に出られないかと辺りを見まわす。
通路の奥に「関係者以外立入禁止」と張り紙をしてあるドアがあった。
そっと押すと 鉄のドアはキイと音を立ててひらいた。そこには階段があるだけだった。
これを上れば、屋上に出られるかもしれない。
振り向いても、誰もいない。
とがめられることもなくマヤは、新鮮な空気を求めて階段を上り始めた。
階段を上り詰めると入ってきたときと同じ鉄のドアがあったので、恐る恐る押すと やはりキイとひらいた。