第7章 正義と不義の表裏一体
轟君とエンデヴァー事務所へ向かっている。特にお互い話すことがない、というよりも普段彼とあまり話したりしないため、何を話せばいいのかさっぱりわからないのだ。でも、やっぱり気になる事を聞かないでいられるほど、好奇心が抑えられた人間ではなかった。
「ねぇ、轟くん。」
「?、なんだ。」
「あのさ、ずっと聞きたかったんだけどさ。どうしてあんなにも嫌だったお父さんの事務所に行く気になったのかなって。答えにくいことだったら無視してもいいから。」
体育祭の日にみせた、あの憎しみに溢れた目。準決勝の飯田くん、そして後日ビデオでみた決勝の爆豪君との戦いのときですら出していない左手の炎。色々合致がいかないのだ。
「№2と言われるアイツの実力をこの目で見ようと思ったからだ。俺はこのまま止まっているわけにはいかない。」
その答えは私と似たようなところだった、私自身彼を認めたわけじゃない。体育祭のあの言動で嫌いになりかけているに等しい。けど、人は何もなしに№2のヒーローと褒め称えたりはしない。それなりの働き、活躍あってこその№2であるのだから。
「私と、一緒、かな。」
「#NAME2#の体育祭の爆豪と戦っているのを見て、少し羨ましかった。」
「え、?」
「なりたいものがちゃんと決まって、その道のためにまっすぐ歩いてる#NAME2#がまぶしく見えたんだ。」
その瞳に恥じらいやそんな感情なんてなく、ただ私の目をみてそういわれる。無自覚天然イケメンって怖いな。体育祭前なんて、眼中に無い発言されて軽くキレてたのに、ちょっと不思議だ。背中がむず痒い。
「そんなんじゃないよ、私は。まだ迷いまくってる途中なんだから。」
私は立派に生きられたものじゃない。