第7章 正義と不義の表裏一体
家を出て集合場所の駅へ行く。南から北まで、各々の職場体験先へ向かう。そして、絶対に選ばないと思ってたはずの轟君が同じエンデヴァー事務所に体験に行くらしい。心境変わりすぎやしないか。
駅前の大型ビルに備え付けてあるビジョンもまた、ヒーロー殺しのニュースを報じていた。被害者のヒーローの名が上げられていく中「インゲニウム」の名を聞いた途端、嫌な予感がした。気になったら直ぐ調べないと気がすまないたちなので、インゲニウムを検索にかける。
本名「飯田天晴」彼がヒーロー殺しに襲われた日は雄英体育祭の日。そして飯田君がその日早退した理由は「ご家族の事情」そして同じ個性。兄弟と見て間違いない。前々から言ってるけど私の悪い予感は当たるんだよね!!!
「コスチューム持ったな、本来は公共の場で着用禁止だ。くれぐれも落としたりするなよ。向こうで失礼の無いようにな、じゃ行け。」
相澤先生の手短挨拶が終われば皆、それぞれの目的地へ向かうホームへ行く。一人動き出した飯田君の腕を掴み引き止める。
「飯田君、ちょっと聞いてもいいかな。」
「原操君、どうしたんだ?あまり時間は無いんだが。」
「そんな時間掛からない、一個だけ。どこの事務所に行くの?」
「ノーマルヒーロー、マニュアルさんのところだ。それがどうかしたか?」
「いや、何でもない。ごめん引き止めて。くれぐれも、気をつけて。」
「ああ、原操君も。」
ノーマルヒーロー、マニュアル。保須市に事務所を構えている。最後にヒーロー殺しが現れたのも保須市。もう一度そこにヒーロー殺しが出ないことを願うしかない。