第4章 新たなる脅威そして自覚
目の前の敵を追いかける私、後一歩のところで取り逃がしてしまう先ほどの光景が鮮明に映し出されてる。悔しい、悔しい、悔しい。床に膝をついて、痛みに蹲る自分が見えて、さらに嫌気が差した。
「...!..い!...おい!」
誰かに大きな声を掛けられ、静かに目を開いた。行きしなにのってきていたバスのようだ。
「おい、テメェ、起きたんなら離れろ。」
「え、?」
声のする方を見ると爆豪君がいる。あれ、私USJで倒れたんじゃ。ん?離れろって、何?寝起きの頭と眼は辺りを見渡すだけで目覚めの一発としては十分すぎた。私が完全に肩にもたれ掛かって眠っていたのだ、しかも爆豪君の腕をかなり強く握っていたのか、私の手が震えている。
「え、ええ!?ごめん爆豪君!重かったし暑かったよね!?いっった!!」
勢いよく離れすぎて窓枠にガコン、と嫌な音を出しながら頭を打った。まって、シンプルに痛い。私の大きな声でみんなが此方を向いている、視線までも痛い。
「お!原操起きたんだな。」
「奏さん、ご気分如何ですか?何処か痛い所などありますでしょうか?」
「切島君、おはよう。大丈夫だよ、心配掛けちゃってごめんねヤオモモ。」
前からは切島君が、後ろからヤオモモに声を掛けられ返事をする。今は一旦学校へ戻っている、といったところだろうか。静まりかえっていたバスの中に少しずつ人の声が出始めた。
「ねぇねぇ、奏、爆豪にお姫様抱っこされてたの覚えてる?」
「え!?」
「そうそう!いいなー!私もお姫様だっこされたーい!」
「ええ!?」
まって、まって、私このたった1ヶ月間に2回もお姫様抱っこされてるって何、私今年で死ぬの?しかも私が倒れたばかりに爆豪君もかなり周りに弄られただろうに。
「爆豪君、本当にごめんね?」
「後に倒れる位なら先に行くな、心臓に悪い。」
「う、うん。有難う。」
顔から火を噴いてしまいそうなくらい熱い。心配してくれてたとか、優しさとかが色々来て、本当にイケメンは心臓に悪い。
「まぁ、爆豪もまんざらでもなさそうだったしな。」
「ちげぇわアホ面!黙ってろ!!」
アハハ、と乾いた笑みを浮かべ学校へと戻った。翌日は臨時休校となったが気の休まる物でもなかった。
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