第4章 新たなる脅威そして自覚
止めの一発、それがふさわしい力を打ち込んで、脳みそむき出し野郎を吹き飛ばしてしまった。本当に、有り得ない。それでも衰えたという発言には、私も敵も驚きだ。
「ここは一旦退こう!」
切島君が後ろから声を掛けてくれて、私もこれ以上の出る幕はないと感じる。けど、何かが引っかかる。緑谷君の表情、恐怖心じゃなくて、何かを心配そうに見つめる目。あれだけの力の差を見せたオールマイトに何か心配するようなことがあるだろうか。
「緑谷く、」
声を掛けようとした瞬間、彼は忽然と目の前から姿を消してオールマイトの元へ行ってしまった。ダメだ、危険すぎる。本当は行かないのが先決なのに、私の足は勝手に動いてしまった。入り口のゲートからは学校の先生たちが来て、戦況は圧倒的有利にこちら側に倒れこんだ。敵が帰ろうとしているのが見えて、さらに足を急がせた。
「このッ!待て!!」
黒モヤに手を伸ばし少し触れてしまえばこっちのものなのだ。
「!?、質量が、大きすぎる!制御しきれない!!」
黒モヤが13号先生に引っ張られながらもその姿見を消していく。私は、確かにモヤの中のワープを捻じ曲げてやろうとした。私の個性なら、宇宙の法則、宇宙の謎であるブラックホールだって作る事が出来る。そう思ってたのに、私に扱える大きさではない。私の力量が余りにも足りていない。悔しい、私の力が無いばかりに取り逃がしてしまった。私の考えが浅はかだった。
「あぁッ!あ“あ”あ“ああ!!!」
痛い、腕も足も、ギシギシと音を立て能力限界を示す。扱えない力を振るおうとしたからか、その痛さは今まで感じた物の比では無かった。
私はあまりの痛さに意識を手放してしまった。