第2章 進藤ヒカル
(次こそは負けないように、塔矢くんに追いつけるように明日は絶対に勝つ…!)
そんなことを考えながら先程の塔矢くんとの対局を並べていると、向こうからザワザワとどよめきが聞こえてきた。
「えっ……負けた…?」
「負けたのかいアキラくん!?」
「2目差で?」
…塔矢くんが負けた?そんなことあるの…?
疑いつつも塔矢くんのもとへと行き、盤を見ると
…本当だ。2目差で塔矢くんが負けている。ずっと一緒に碁を打ってきた私でさえ勝てたことないのに。そしてさらに驚いたのは市河さんの言葉。
「ちょっと待ってよ!負けたってホントなのアキラくん!だってあの子今まで一度も対局したことがないって言ったのよ!」
どういうこと…!?
一度も対局したことがない?