obsidian is gently shines
第1章 お幾つになりましたか?
よく晴れた日の午後。
あわせて休日をとった二人は、デートというには控え目に、ごくごく近場の、これまたごくごく普通の喫茶店に来ていた。
お目当ては、徐々に評判になりつつある新鮮なフルーツを使ったお菓子。
「実年齢と見た目年齢が…
反比例しすぎてる!!」
タルトにフォークを突き刺しながら、セチアはこの上なく真剣な声音で言い切った。
自信満々に『さぁどうだ!』と言わんばかりの表情。
「………」
そんな彼女に、リヴァイは眉間に皺を刻みながらぎろりと睨み返す。
だが、テーブルの向かいに座る相手は怯まない。
それどころか、鼻息荒くじっと見つめ返してくる。
お気に入りの桃のタルトを頬張りながら。
確かに、リヴァイの見た目は若い。
彼女が赤ん坊の頃から全く変わっていない、と言っても過言ではなかった。
そう…
今年成人を迎えるセチアが産まれた時から、ずっと。
故に、例え根拠がなかろうと理由が分からなかろうと、いつだって自信たっぷりに言い切る。
そして聞いた誰しもが、セチアの意見に頷いてくれる。
ただ一人、リヴァイ本人を除いて。