第1章 だから男だっつの!
放課後になり、部活を見学しに体育館へ向かう。
体育館までは通りかかった人に案内して貰った。
放課後ギリギリまで木兎とかいう奴がしつこかった。
「また同じこと聞かれんだろうな...」
溜め息を吐き、体育館の扉を開けた。
「失礼しまーす」
中へ入ると、一斉に向けられる視線。
「おぉ!?神楽チャンじゃん。
どうしたのー?
俺に会いに来たー?」
いきなり身体に走る衝撃。
「木兎、それ、止めて」
なぜだか今、抱きしめられている。
その場に、ワラワラと集まって来るバレー部員。
「お前、良い匂いすんな。
なんの匂い?香水?
すげー興奮する」
「ちょ、おいっ」
首筋に顔を埋められ、匂いを嗅がれる。
距離が近いし、なんで抱きしめられてんの!?
どんな状況ですか、これ!
「ぼ、木兎!」
流石の俺も戸惑うんだけど!
教室じゃ分からなかったけど木兎は身長が高い上に、ガタイが良いから自力では抜け出せない。
なんて俺は非力なんだ...。
ほんとに、誰か助けて!
「木兎さん、嫌がってるんで離してあげてください」
「えー。
別に嫌がってないだろ?
な?神楽チャン?」
「ちゃん付けすんなよ、気持ち悪い」
「辛辣!!
でもそれがまた良い!
普通に興奮する」
「えー...ないわぁ」
木兎ってマゾなのか?
てかバレー部の人達、顔赤くしてないで助けてよ。
身内だろ!?