第1章 だから男だっつの!
夏、親の都合で転校することとなった。
季節外れの転校は変に目立つし、第一色々勘違いされるしで、良いことなんて何も無い。
「神楽雪です、よろしく」
挨拶した瞬間、いや入った瞬間から少しザワつく教室。
その内容も聞き慣れたもの。
「なんで男子の制服着てんだぁ!?
お前、神楽クンだっけ?
男装趣味?」
「そんなの、男だからに決まってんでしょ」
「はあぁぁぁ!?」
髪の毛をツンツンと逆立てた男が、席から立ち上がり、大袈裟に驚いた。
「木兎ー、座りなさい」
そして、注意されていた。
そう、こんなのいつものことだ。
街を歩けば野郎共にナンパされるし、おっさんにいくら払えば寝てくれるか聞かれるし、スカウトは専ら女性誌。
本当...自分のこの顔が嫌だ。
それからというもの、掛けられる声の大半は男子から。
しかも性別を確認するものばかり。
「はぁ...」