第3章 〜welcome party〜
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「少し執務を片してくるよ。リヴァイ、少しの間ナナを頼む。」
「チッ…。」
そう言ってリヴァイの部屋から出て行くエルヴィン。
(ちょっと待って、いきなり二人きり?!)
扉が閉まり、沈黙が流れる。
リヴァイは自身の椅子に座ると、手足を組み私をジッと睨んできている。
あまりの居心地の悪さに隠れ部屋へ行こうかアタフタしていると、リヴァイが突然口を開いた。
「何故俺達に壁外調査が終わったのか聞いてきた。」
「へっ?!」
「……明後日何が起きるのか、お前が知っている全ての情報を吐け。生憎俺は夜まで待てねぇ。」
そう言い、私に座れと言わんばかりに近くにあった椅子を顎で指している。
こんな顔で睨まれてしまっていては言わないという選択肢は無いだろう。
「…分かりました、お話しします。」
私はエルヴィンに先程話した内容をリヴァイにも一から説明した。
時折目を見開くリヴァイ。
敵側が巨人化して何人もの兵士が死ぬ事を、ペトラ達に起こる悲劇を、私はリヴァイに話した。
「……そんなあり得ねぇ話を信じろってのか?」
焦ってはいないリヴァイだったが、哀しみか怒りなのか、どこか異様な空気を醸し出している。
そんな空気の中、エルヴィンが帰ってきた。
右手に食事が乗せられたトレイを持っているのに気付き、まだ腕を失ってないのを再認識した私はホッと胸を撫で下ろした。
「待たせたね。…その様子だとリヴァイも聞いたのか?」
「…あぁ。信じ難てぇ話だったがな。」
「私も最初は驚いたが、我々は巨人に対してまだまだ無知だ。エレンを基準に作戦を考察していたが、巨人にはもっと計り知れない力があると想定した方がいい。何より、彼女が嘘を付く理由が見当たらないしな。」
頭をポンと撫でられる。
物語を見る限り、この人は私が言う前から既に想定していたのだから、本当にかなりの策士なんだと尊敬する。