第1章 タイムスリップ⁈
「なんとなく、そうじゃないかなって。さっき、秀吉様が舞の時と同じだってことをおっしゃってたので。」
さっき自分で言ってたでしょ、という言葉は飲み込む。
(舞さんは多分、天然だな、、、)
「?私の時と同じ、、、?秀吉さん、どういうこと?」
舞さんが秀吉様の方を向く。しかし、答えたのは反対側にいる明智光秀だった。
「幸帆が、『秀吉って、豊臣秀吉⁈』と叫んでな。
秀吉が『確かに俺は豊臣秀吉だが、お前は誰だ?どうして俺の名を知っている』と返したのだ。』」
すると、舞さんは懐かしそうに目を細めた。
「それ、本能寺の変の時だね。」
本能寺の変。
1582年6月2日。織田信長が明智光秀に殺される事件。
小学六年生以上の日本人なら、知らない人はいない事件。
そこまでほぼ無意識に意識が流れて行って。
ハッとした。
「本能寺の変⁈」
慌てて上座を見る。
そこには、はじめとかわらない姿勢でこちらを見る織田信長が、ちゃんといる。
その左前には、ミステリアスな微笑みをたたえた明智光秀もいる。
本能寺の変が過ぎているとしたら、ありえないはずの光景だ。
(なんで、、、⁈)
気付いて見れば、ここにはおかしなことが沢山ある。