第2章 最悪の再会
約2時間前
「そろそろ乱歩さんのお菓子がきれちゃいそうだな」
隣ではカリカリと書類を物凄い速さで処理している国木田さん。
手さばきが物凄く早い上、ミスも全くない。
集中力も申し分なくあって少し憧れる所があるのは内緒である。
今事務所にいるのは国木田さん、敦くん、晶子先生、谷崎兄妹に事務員の春野さんだ。
あれ、治さんは……?
ナイスタイミングなのかブルブルとポケットのスマホが揺れる
「ねぇ、海。今入水した所なんだけど、失敗しちゃってずぶ濡れなんだよね。タオル持ってきてくれるかい?今から場所を_____」
スマホから聞こえる音声は思っていたよりも大きく…
隣の国木田さんのペンが折れた音が聞こえた
「治さん。いい加減にしてくださいね。いくら貴方の恋人と言えど毎回毎回……もう困ります!今回は自分で何とかして反省してください!」
ピッ!
と勢いよく電話を切り、その後何度もかかってくるスマホに電源を落とす。
周りの人達からは同情の目を浴びせられた
「毎度あの唐変木には困ったものだな。お前は気分転換がてら、先刻言っていた乱歩さんのお菓子を買ってくるといい。」
「はい。お気づかいありがとうございます。少し長くなるかも知れませんがいいでしょうか?」
「構わない。」
「では行ってきますね!」
電源を落としてあるスマホはデスクの上のまま、財布だけを持って外に出た。
有名な菓子店へ足を運ぶ途中、どれくらい待つかな?なんて考えていた。
その後の記憶はあやふやである