第2章 呑み込んだ言葉は渦の中《夢野 幻太郎》
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「ほら、欲しいでしょう?」
「……っん、」
今日は、本当に優しい。
いつもなら簡単に入れてくるのに。
「…っあ゛、んんん、ふッ♡♡♡」
「叶、————」
「え、——っ」
言葉を発そうとしても口を塞がれた。
今、見たのだ。
好きだ、と口が動いた。
勿論、夢野先生からは発せられない音。
そうか、同じ気持ちなんだ。
「…んぁ、幻、太郎、———」
「………全く、貴女という人は」
「ひ、ッ♡ん、あ゛、あぁあ゛♡♡」
いつも通り、欲を求める動き。
私も幻太郎と同じ様に言葉を発さず
口だけを動かした。
お互いに、好きだとも言えず
ただただ身体を重ねる。
「叶、」
「ん゛、幻太郎、っ、」
こんなにも好意的な言葉を言えないのは
お互いに言葉を彩る者達だからだろうか。
ただ、臆病なだけだろうか。
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