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続短編集…あんさんぶるスターズ!【あんスタ】

第10章 おとぎ話にレクイエム 月永レオ


レクイエムは死者のために。

私は死者のために書いた。私の記憶という死者のため。記憶の中で生きていた君はもういない。

過去にすがっていた私が間違っていた。


「…………やっと気づいたか。」


月永が五線譜を受けとる。


「月永が遠回り過ぎる。」

「あれで気づかないなら作詞家失格だな。」

「ポエットなんだよ。」

「ポエット?」

「詩人って意味よ。P、O、E、T……。英語にポエマーなんてないからね。」


彼は生まれて初めて知ったのか動揺していた。
それがおかしくて、クスクス笑った。

月永はそれを見たあとに、月を見ながら言った。


「俺がやっと外に出られたんだ。そこにお前がいないのは嫌だったから。」

「道連れってこと?」

「おいおい、外って楽しいぞ?」

「私を外に出すためにあんな電話かけてきたのはどこの誰?もううんざり。」

「そう言うなって。けっこう良いじゃんか、これ。」


月永が五線譜に目を落として言う。……ほとんど即興だから見ないでほしいんだけど。


「うわ、なんか俺本当に死んだみたい」

「………もういい。ここまで来たら認めざるを得ない。」

「何が?」

「人間には死んでいた時期があったっていうの。私は生きていたつもりだけれど、さっきまできっと死んでた。やっぱり、曲を書いてないと生きてる気がしない。」

「…………なるほど。まぁ、そんな感じの詞だな。……って、何じろじろ見てんだよ。」


五線譜に見いる彼を見つめていると、嫌そうにされた。私は目を離さずに言った。


「いや、また死んでもらったら今回のことのようになり面倒だからできるだけ月永を更新しておこうと思って。」

「何だそれ!?ていうかお前、また引きこもるつもりかよ!!」

「今も足がガクブルなんだけど」

「え…ちょ、ちょっと待て!!なんかよく見たら顔色悪いぞお前!!」


月永は怒っているのか、何なのか。顔が赤い。私は青くなったけれど。

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